広帯域波長板
複数枚の結晶板を用いて波長帯域の広い波長板を製作することが可能です。当社では、一般的な水晶とMgF2結晶を組み合わせた広帯域波長板以外にも、多くの結晶を取り扱っている実績を生かし、水晶とMgF2結晶以外の結晶や特殊な構造の波長板の製作も行っています。以下に代表的な広帯域波長板を示しますが、位相差の波長特性やサイズなど、ご要望に応じた波長板の製作を行います。
一般的な広帯域波長板:紫外~近赤外光用広帯域波長板
一般的な水晶とMgF2結晶を組み合わせた広帯域波長板の位相差の波長特性の例を示します。位相差の波長特性や有効径、ホルダーの有無、サイズやAR膜の有無などに応じて、1個からでも製作いたします。
図1 標準的な広帯域波長板の位相差の波長依存性

VUV,DUV広帯域波長板
当社のもつ優れた加工技術と評価技術によって、真空紫外(λ=160~250nm)、深紫外(λ=200~400nm)波長領域における広帯域波長板が実現しました。
VUV広帯域、DUV広帯域波長板の納品の際は、当社のUV偏光子を用いて高精度に測定した位相差データを添付します。
高透過率とコンパクト性を併せ持つオプティカルコンタクトタイプと、レーザーなどの高出力光への耐性に優れたエアスペースタイプの2種類があります。いずれの波長板も接着剤フリーの専用ホルダーにマウントされます。オプティカルコンタクトタイプの場合、ホルダー無しとすることも可能です。
DUV広帯域波長板にはAR膜を成膜することも可能です。
表1 VUV 広帯域波長板 QWP/HWP 標準仕様
VUV 広帯域波長板 QWP(λ/4板) | VUV 広帯域波長板 HWP(λ/2板) | |||
---|---|---|---|---|
外観 | S/D=10/5 | |||
透過波面,PV(λ) | 1/4@633nm | |||
波長(nm) | 160~250 | |||
位相差(deg) | 90 | 180 | ||
位相差誤差(deg) | ≦±10 | ≦±15 | ||
位相差特性 | 図4 | 図5 | ||
有効 (mm) | φ16 | φ16 | ||
ホルダー径(mm) | 35 | 35 | ||
ホルダー厚さ(mm) | 7.5 | 7.5 | ||
構造 | オプティカルコンタクト | エアーギャップ | オプティカルコンタクト | エアーギャップ |
コーティング | なし | なし | なし | なし |
透過率(%)* | ≧70% | (≧40%) | ≧70% | (≧40%) |
表2 DUV 広帯域波長板 QWP/HWP 標準仕様
DUV 広帯域波長板 QWP(λ/4板) | DUV 広帯域波長板 HWP(λ/2板) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
外観 | S/D=10/5 | |||||
透過波面,PV(λ) | 1/4@633nm | |||||
波長(nm) | 200~400 | |||||
位相差(deg) | 90 | 180 | ||||
位相差誤差(deg) | ≦±10 | ≦±15 | ||||
位相差特性 | 図 6 | 図 7 | ||||
有効 (mm) | φ16 | φ16 | ||||
ホルダー径 (mm) | 35 | 35 | ||||
ホルダー厚さ (mm) | 7.5 | 7.5 | ||||
構造 | オプティカルコンタクト | エアーギャップ | オプティカルコンタクト | エアーギャップ | ||
コーティング | AR | なし | AR | AR | なし | AR |
透過率(%) | ≧92% | ≧80% | ≧70% | ≧92% | ≧80% | ≧70% |
図2 VUV/DUV広帯域波長板形状図

図3 VUV広帯域λ/4板の位相差波長依存性

図4 VUV広帯域λ/2板の位相差波長依存性

図5 DUV広帯域λ/4板の位相差波長依存性

図6 DUV広帯域λ/2波長板の位相差波長依存性

超広帯域波長板
複数枚の結晶板を貼り合わせることで通常の広帯域波長板よりも波長帯域の広い、超広帯域波長板を製作することが可能です。特に、結晶軸(光学軸)を平行または直交以外の角度にすることで波長帯域を広げる事が可能です。ただし、以下に示すパンカラトナム型H+Q型の超広帯域波長板は、出射偏光の長軸方向も波長によって変化するため、取り扱いには注意が必要です。
Pancharatnam 型超広帯域波長板
6枚の結晶板を組み合わせた超広帯域波長板です。H+Q構造型と異なり回転させて使用する事も可能です。
特にλ/2板については特性が優れており、λ/4板のように直線偏光を円偏光にする場合は、HQ構造超広帯域波長板の方が優れています。ただし、λ/4板を回転させて、直線偏光を円偏光から直線偏光まで変化させる用途の場合は、Pancharatnam型超広帯域波長板の方が優れた特性を示します。
以下の特性は例です。ご依頼に応じて特性、仕様について検討いたしますのでご連絡ください。
図7 Pancharatnam型λ/2超広帯域波長板の諸特性



図8 Pancharatnam型λ/4超広帯域波長板の諸特性



HQ型超広帯域波長板
図9のような構成の超広帯域波長板です。λ/4板のみで特性を発揮する構造ですが、使用波長帯域内での位相差の平坦性は優れています。回転させて使用する場合には、本構造ではなくPancharatnam型超広帯域波長板を推奨します。
図9 H+Q型λ/4超広帯域波長板の構造図

図10 H+Q型λ/4超広帯域波長板の諸特性


